カッシーナの家具～その特色と代表的な作品とは

カッシーナの家具～その特色と代表的な作品とは

イタリアは高級家具の一大産地であり、数多くの名ブランドを生み出しています。

今回はそんなイタリアの高級家具ブランドのなかから「カッシーナ」を取り上げ、その特色と代表的な作品について解説していきます。

モダン、スタイリッシュ、シャープ……時代に愛された家具ブランド「カッシーナ」

「カッシーナの魅力はどこにあるのか？」と問えば、多くの人が、その「革新性」を挙げることでしょう。

カッシーナは今から100年ほども前の1927年に、ミラノ自治体のメーダで誕生したブランドです。

しかし当時から常に「最先端の」家具を生み出すことに情熱を燃やし、非常に現代的な家具を作り上げてきました。

カッシーナの打ち出す家具は、モダンでスタイリッシュ、シャープで、洗練されていて、目新しさを持ちます。そのありようから、カッシーナは「モダンファニチャーの旗手」とも称されていました。

カッシーナは、「イ・マエストリ」というコレクションと、「コンテンポラリー」というコレクションを中心としています。

イ・マエストリの方は、今では歴史的人物となった巨匠の作品を現代によみがえらせたもので、時代を超える普遍的な美しさを持つ家具のラインです。カッシーナを語るうえで欠かすことのできない人物であるル・コルビュジェ（モダニズム建築の大家。世界遺産として登録されることになった日本の国立西洋美術館本館を手掛けている）がいます。彼が結んだ唯一の復刻版生産ライセンス契約の相手は、このカッシーナでした。

現在に生きる若い建築家たちとコラボレーションをし、作り上げているのが「コンテンポラリー」です。現在のライフスタイルに合わせた家具を、新しく若い視点から築き上げることを目的としたこのコンテポラリーのラインは、イ・マエストリとはまた異なった魅力を持ちます。

「常に新しいスタイル」を追い求めるカッシーナらしいラインともいえるでしょう。

カッシーナの代表的なアイテム「マラルンガ」

カッシーナは数多くの作品を打ち出しており、そのすべてにファンがいます。ただそのなかでも、やはり「代表作」と呼ばれるものがあります。それについて解説していきます。

カッシーナの家具のなかでも特に有名なのが、「マラルンガ（ソファ）」でしょう。

これはコンテンポラリーに分類されるもので、2006年に死去したヴィコ・マジレストレッティの作品です。

今か50年ほど前に販売されたもので、木とスチール、そしてモールドウレタンを利用して作り上げられました。スチールの骨組みとモールドウレタンを取り入れたこのソファは、非常に革新的なものとして受け止められました。

背もたれは切り替え式で、ハイバックとしてもローバックとしても使えます。体をすべて預けてリラックスしたいときはハイバックに、空間を広々と見せたいのならばローバックに……とライフスタイルに応じて使い分けるとよいでしょう。

応接スペースに置くべきアイテムであり、どの方向から見ても映えるデザインに作られているのが特徴です。カッシーナらしいモダンさと新鮮さを併せ持つソファであり、その美しさは、50年の時を経てもなお、少しもかげることがありません。

「ソファにおける最高傑作」とも称えられるこの作品はニューヨーク近代美術館に所蔵されていますが、購入することもできます。50万円（1人掛け）~120万円（3人掛けワイド）で販売されています。

カッシーナのソファのなかでは比較的買い求めやすい価格であるため、自宅用としても事務所用としても購入しやすいのが魅力です。

カッシーナの作り出す家具の多くが、美術館に収容されています。このブランドが職人とデザイナーとともに作り上げた家具は、「美術品」としての価値を持つことを考えれば、これはうなずける話です。

しかしこれらは、いずれも美術品としてだけ存在するものではありません。私たちが日常的に触れ、使い、快適に過ごすための「道具」でもあります。何年も何十年も受け継がせていける品質の家具だからこそ、ぜひ日常的に使っていってください。